秋の夜長に、柿の話…

ここ数日、めっきり寒くなって来て、早、晩秋の気配が…。
街路樹の葉も、日増しに色付いて来ていますが、色付くといえば、秋の味覚の代表とも言える柿の実もやはり美味しそうに色づき始めましたね。

親父に言わすと、
「富有柿は、霜がかからんとほんとの甘みが乗らん!」のだそうです。
柿の葉もだいぶ落ちて、気に残った柿の実に霜が降りるようになると、富有柿も一段と美味しくなるようです。
それは、理にかなった話で、植物は凍結による細胞の破壊を防ぐために、低温になると細胞内に糖分を蓄えて、凍結を防ごうとします。雪の下になった野菜が甘みが出るのと同じ原理ですね。

さて、柿は古くから日本の各地に自生していた果物のようで、その所々で様々な名前が付けられています。一山超えると、同じような柿でも、微妙に形状が違ったり、呼び名が違ったりもするようです。

これは、石川県特産の「紋平柿(もんべいがき)」
なんでも、名前の由来は現在のかほくしの高松辺りの屋号が「紋平さ」と呼ばれていた家に大きくて美味しい実を付ける柿の木があったんで、「紋平柿」と呼ばれるようになったとか…。

有名な富山の干柿になる柿は、「三社柿」と言うんですが、八百屋の古老によれば、金沢の医王山を隔てて富山県側になる福光から、貨車で大量にその柿が運ばれて来て、それを金沢駅のそばの「三社」辺りで捌いていたので、「三社柿」と呼ばれるようになったとか…。

秋の野山に朱く色付く柿の実を、獣や鳥がついばむのを見て、古人たちもやっぱり食べたいと思った事でしょうね…。
しかしながら、皆さんもよくご存知のように柿の実には、渋柿と甘柿があります。
どちらかと言えば、渋柿のほうが多いのかもしれません。甘柿にしても、ある時期を過ぎると、渋柿に戻ってしまうものもあります。
運良く、甘柿の生るところに住んでいた人たちは、柿を存分に楽しんだかもしれませんが、渋柿しか生らないところに住んでいる人にとっては、大変厄介な問題です。
ほんとに熟して柔らかくなってから食べたのか、
あるいは、鳥に食べられる前に収穫したのはいいけれど、渋くて食べられないんで、頭に来て家の隅にでも放置しておいたら、数日後に柔らかく熟していたんで食べてみると美味しいことに気付いたのか…。
はたまた、たまたま採ってきた柿の実を入れておく所がないので、空いていた酒樽に入れておいたのを後日食べると甘くなっていたのか、それとも、子供が湯船で柿の実を浮かべて遊んでいて、次の朝、その柿を食べてみると甘くなっていたのか…。
まぁ、何らかの偶然が重なって、渋柿を甘く美味しく食べる方法を発見したんでしょうね。

柿の呼び名には色々ありますが、この柿は金沢の方では「西条柿」と呼ばれ、主に皮を剥いて吊るして干柿にします。柔らかくしても美味しいんですが、チョッと水っぽくてサッパリした感じになります。

こちらは、金沢の方では「日本柿」と呼ばれ、主に柔らかく熟させて食べたりします。もっちりとした濃厚な甘さが特徴です。干柿にしてもいいんですが、チョッと黒ずんだ色に仕上がるかもしれませんね。

見て頂くと分かると思いますが、どちらの柿も吊るして干柿にするために、ちゃんとT字状の枝が付いています。
俗に、「柿が赤くなると医者が青くなる」とも言われるように、柿は大変栄養に富んだ果物です。それを何とか保存して、食べ物が少なくなる冬の間も食べれないかと考えたんでしょうね。古くから、食べ物を乾燥させて保存する方法は知られていたようなんですが、柿の場合、皮の部分で呼吸が行われず、ヘタの部分でのみ呼吸が行われるので、皮のついたままだと上手く乾燥せずに、熟した柔らかい柿になってしまいます。
それで、干柿にする際には、手間がかかっても皮を剥いてやらないといけないんですね。
干柿自体は栄養に富んだ食品ですが、柿の糖分がそのまま1個分凝縮された状態なので、一度にあまり多く食べると、糖分の摂り過ぎにもなりかねないので、美味しいからといって無闇矢鱈に食べるのはチョッと控えたほうがいいかも…。
ちなみに、和菓子の基本となる甘さは、干し柿の甘さだとも言われているそうですよ。

で、今年は自分でも干し柿作りに挑戦してみようということで、店先の看板のさんにしました。

 

柿の皮を剥いてから、ビニール紐で2個ずつ縛り、互い違いになるように吊るします。
皮を剥いた後の柿は、綺麗なところに置いて作業しましょう。吊るす前に、さっと沸騰した熱湯につけると殺菌効果もあるそうなんですが、それは省いてそのまま吊るしてますが、近江町いちば館新通りのうちの店の前は、北西方向からの風が非常に良く通るところで、雨もかからず、直射日光にも当たらないので、干柿作りには非常に都合のいい所みたいです。
とにかく風通しのいいことが、一番肝心です!サンルームなどで干すと、カビたり腐ったりすることもありますから注意してくださいね。


大体、1週間から10日前後で、このような「あんぽ柿」の状態になります。
ある程度柔らかくなってきたら、吊るしてある柿を手で揉んでやると、渋も上手く抜け、柿も硬くなりにくいそうです。毎日揉んでやると、柿の状態がチェックできるので、好みの状態で食べることができますよ。「あんぽ柿」は、水分含有量が約50%以下の状態、「干柿」は約30%以下の状態のものを指します。
「ころ柿」は、感じでは「枯露柿」の字を当てますが、まさに露が枯れる柿と言うことで、味わいのある字だと思いませんか?

手っ取り早く食べる食品が好まれる時代ですが、渋柿を食すことは、まさにスローフードですね。この機会に、家族が食べる分の干柿を家庭でお子さんと一緒に作ってみてはいかがですか?
食卓を囲んで、古の人たちの知恵と努力に思いを馳せながら、会話を弾ませるのが、まさに食育だと思います。
そして、食文化とは、我々の祖先が命がけで発見し伝承発展させて来た、人類の最大の文化だと思います。

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