タネのお話…

タネについて少しお話ししてみましょうか…
長崎 茂木ビワ

最近、果物に関してよく耳にするのが、
「美味しいけど、タネがあるからめんどくさい…」
「子供が、タネがあると嫌がって食べないのよ…」等々、タネを毛嫌いするような声ばかり…。

近頃では、品種改良の結果や、タネの生育を抑制するような技術の進歩によって、タネの無い果物も多く出回ってますし、果物が主に嗜好品として食べられると言う事を考えると 、タネの無い果物がより好まれるのも理解出来ますが…。

では、果物っていったい何でしょうか?

種の保存、繁栄のために必要な種を鳥や動物達に食べてもらって、より広範囲に拡散してもらうために植物が編み出した手段だとは思いませんか?
色や形や香りや味に至るまで、植物の長年にわたる進化のまさに「果実」です。
タネの回りが一番美味しいと言われるのもそんなことに起因しています。
いかにして、見つけてもらうか、いかにしてタネの部分まで食べてもらうか、まさに植物が身を呈して種の保存、繁栄のために生み出したものだと思いませんか。
ドラゴンフルーツ ゴールドキウィ

ですから、基本的にタネは消化器官では殆ど消化されずに排泄されます。そうでないと、タネ本来の役目を果たすことが出来ませんからね。
それに、タネには新たな生命の息吹となる様々な栄養素やエネルギーの塊であるとも言えます。ですから、植物の種子を人は様々な形で利用している訳です。

果物に関して言えば、人類の歴史の中で、食用となる「実」(果肉部分)をいかに美味しく食べるかに主眼が置かれた改良がなされてきた結果、現在の様々な果物が生まれて来た訳ですよね。

その過程において、枝変わりや、変異で生じたタネの少ないものが選抜されて、栽培され続けられた結果、タネなしの果物が出来あがってきたとも考えられます。
とは言っても、タネがあっても気にならない程度になったり、逆にイチゴのようにタネが食感のアクセントになったりしている場合もありますよね。紅ほっぺ
バナナにだってタネの痕跡はありますし、グレープフルーツかんかでも、収穫後長時間経過したものなんかでは、タネが生育した上に発芽まですると言う事もありますよ。

巨峰などは、今やタネなしが主流となっていますが、生産者の方々は「タネあり巨峰」の方が美味しいと言う事を分かっているんですが、消費者ニーズが「タネなし」だからと言うことでタネなし巨峰を栽培せざるを得ないと言う事も仰ってます。

長々と書きましたが、要は、果物は元来タネを食べてもらうために出来たもので、その中に在るタネに関しては、少しは大目に見てやって欲しいと言う事ですかね。
タネを温かく見つめてあげましょう(^^♪

春なのに…

心躍る春もすぐそこまで来ていますね。
もうそろそろ、お花見の予定を…なんて時期になって来ましたが、
春と言うのは、果物屋にとってはチョッとつらい季節なんですよね。

新芽が芽吹き、花開く春ってイメージですが、
その花開くってとこが問題なんですね…(-_-;)
ご存じのように、木になる実が果物な訳で、例外的にイチゴやメロン・スイカと言った物も果物として扱いますが、基本的には、春に花が咲いて、夏から秋にかけて実をつけると言うのが一般的です。
と言う事は、花の咲く前の果物は、前年度の残りと言う事なんですよね。
花が咲いたにしても、実になるまではそれなりの時間が必要ですし、実の小さいサクランボや、プラムなどは割と早めに収穫できますが、それにしても露地物の場合は6月中旬以降ってことになるでしょうか…。

柑橘類

柑橘類

こんな風に柑橘類なら一杯あるのに…、などと思われるでしょうが、
国産柑橘は、ほとんどが貯蔵されたもので、4月に入ると急激に品数も減って来ますし、内容の方も低下して来ます。リンゴにしても同様ですね。
果物は収穫後も呼吸をしてますから、その呼吸をいかに少なくするかが重要になって来る訳です。低温貯蔵や、二酸化炭素濃度の調整などで、 鮮度を維持するようにしていますが、呼吸をゼロにする訳にはいきませんし、光合成とは逆なので、糖質が分解されたり、水分を放出したりして、味ボケやパサつきが起こったりもします。

イチゴ

イチゴ

じゃあ、イチゴは?事なんですが、現状では露地栽培のイチゴなどはほとんどなく、ハウス栽培が主流なので、4月になるとハウス内の温度はかなり上昇します。すると、着色だけが先行して味が充分のらなかったり、過熟気味になって日持ちがしなかったりするので、若干青めに収穫したりもします。それと、苗自体も弱ってきたりするので、我々としても、味は二の次、価格勝負!何て事にもなりかねませんし…^^;

あとは施設園芸による果実ですが、ここ数年来の原油高の影響で、過度な早出しは控える傾向にあります。それと、メロン類などは、油代の負担を少なくするため、定植の時期を遅らせたりしてますから、一昔前ほど潤沢には出回らなくなってます。
それよりも、デフレ経済の下での、流通側の低価格志向は凄まじいものがあり、生産コストなど度外視した価格設定を求められることもあるようです。ハウス物が出ても、ある程度の価格を維持できるのも、1週間から10日程度で、すぐに出盛り並みの価格で売らせろ!と言うことになってしまっては、生産意欲もわきませんよね…。

まあ、そんな訳で、4~5月にかけては、平成23年度産の残と、イチゴと輸入果実に頼らざるを得ないのが現状です。それでも、品揃えを考えると、高価なハウス物も置かない訳にはいかないし…(-_-;)

チョッとぼやきのようになってしまいましたが、春は、果物は何にも無い…と言うのがほんとのところかな。そのへんを少しご理解頂けると有難いです。

祇園精舎の鐘の音…

別に、NHK大河ドラマの「平清盛」に感化された訳ではありませんが、 フルーツの世界にも、流行り廃りはあると言うお話です。

愛媛産 いよかん

いよかん

2月のこの時期、旬を迎えるのが愛媛産の「いよかん」です。 一昔前までは、年が明ける前から「いよかん」はまだ出ないのか?とか言われたり、 贈答用には「いよかん」 をよく使ったものなんですが、 最近は、どうもかつての勢いは何処へやら…。 「ミス いよかん」を先頭に、キャンペーン隊が全国を縦断していた事もあったのですがねぇ。 今でもその名残で、近江町市場では2月には「いよかん」のイベントを毎年やってますけども、 はっきり言って、「いよかん」が売れるのはその数日だけかも…(-_-;) ジューシーで独特の香りで一世を風靡したのも、今は昔? やはり、皮を剥くのが面倒だとか、手が汚れて食べにくいなんて事も原因なんでしょうか? と言うか、いよかんをはじめとする中晩柑類を蹴散らしてしまったのが、これ!

デコポン

デコポン

デコポンでしょうね。 皮が剥きやすくて、中袋ごと食べられる上に、甘みも強くジューシー♪ 形も名前もユニークで、頭の中にインプットされやすい。 こうやって書いていると、難点を探すのが難しいくらいの、今や柑橘のトップスターです! デコポンは、フルーツの中でも数少ない出荷基準が厳密に定められている柑橘で、 光センサーを使った選別でその基準を満たさないものは「デコポン」として出荷出来ない事になっています。 お買い求めの際は、チョッと注意して見て下さいね。 基準以下のものや、光センサーによる選別をしていない物などは、品種名の「不知火」や、 ○○ポンとか、○○のデコとか言った名称で売られていたりしますから…。 まぁ、世の中の嗜好によって果物の流行り廃りがあっても仕方がないんですが…。 あと数年もすると、「総選挙」で柑橘の「センター 」が入れ替わっているかもしせんね…。
イチゴ種巨峰

しかし、最近のトレンドとしては、手間がかからない。そのまま食べれる。そんなフルーツが人気があるようで、美味しいとは思うんですが。中晩柑類の売れ行きは…。
その点、イチゴや種なしのブドウ、バナナやミカン等が1年を通して人気のようですわ。

 

 

 

 

 

 

 

果物屋の想いととしては、あと一手間と愛情のスパイスを効かせて頂ければ
フルーツももっと美味しくなるのに…なんて思ったりもしますけどね。

サプリよりフルーツを♪  流行るかな…

先日、FACEBOOKでちょこっと「サプリより、フルーツを…」って書いたんですが、
いいね!を頂いたりしましたんで、今日はそれについて少しばかり…

博多 あまおう

所詮、果物屋のオヤジですんで 細かい効能をどうのこうの言うつもりはありません。

フルーツは、自然がこの時期にはこれを食べなさいよ、と言って我々に与えてくれるナチュラル・サプリメントだと思いませんか?
たとえば、暑い時にはスイカや梨、冬になる前にはミカンと言ったようにね。
昔は、この時期になるとミカンをいっぱい食べて、手や足が黄色くなっていた子供をよく見かけたもんですが、最近はあまり見かけない様な気もしますね…。そんな子は、風邪も引かずに元気に飛び回ってたんですがねぇ。

ハウス・デコポン

 

最近は、足りない栄養素はサプリで補えばいいや…、って言う方も多いのかもしれませんが、基本はやっぱり、バランスのとれた食生活を送る事だと思います。
その中に、フルーツも上手に取り入れてくれるとうれしいんですが…

あいかの香り

スウィーティ

最近では、手軽に食べられるデザート類も豊富ですし、フルーツにしても丸のままではなく簡単に食べられる状態にして、食卓に出される事が多いのかもしれませんが、
五感すべてを使ってフルーツを楽しむと、もっと気持ちも豊になるかも…。

まずは、色や形を楽しみましょう♪
香りも楽しみの一つですね。そのものが放つ香りもそうですが、スイカを切った時に広がる香りや、ミカンの皮をむいた時に広がる香りも又いいもんですよね。
実際に手にとって、質感や表面の様子なんかも楽しみましょう。こんな感じのやつが美味しいんだな、なんて覚えとくのもいいですよね。
やっぱり、音も楽しまないと…。皮をむくときや、カットする時の音。口に入れた時に耳に伝わる音なんかもね。
当然のことながら、味の方も充分に楽しまないとね♪

さらにもう一つ!食べ頃を待つ時間もまた楽しみ♪

チョッと気になるのが、最近は、強烈にフルーツの味が印象に残るような原体験をしてる子が少ないのかなぁ…?コンビニか、自販機に直行なんでしょうか?
夏のテニスコートで食べるスイカなんて、この世の物とは思えないくらい美味いんですけど…

とりとめのない話になりましたが、サプリよりフルーツを♪ お願いします<(_ _)>
写真の方は内容とはあんまり関係ありません(笑)

石川の四季を食する会~秋の章~ レポート

先日、石川四季の会設立2周年記念 石川の四季を食する会~秋の章~ 「金沢の料亭 食べ尽くし」 なるイベントへのお誘いがありましたので、「近江町四季の会」(我々の方が、四季の会を名乗ったのは早い!と言う者もおりますが、何せオフィシャルじゃないマイナーな会なもんで…)のメンバー8人で行って参りました。

まずは「加賀料理の未来」と題したフォーラムです。
会長のANAクラウンプラザホテルの川上料理長がコーディネーターを務め、司会進行はテレビ金沢の塚田さんです。残念ながら「つる幸」の河田さんは欠席でしたが、なかなか興味深いお話を聞かせて頂きました。


能登ワイン・ヌボーの白で乾杯した後、暫しの間「日本海倶楽部」の3種の地ビールやら、ルクセンブルク・ワインで盛り上がってしまいまして、料理が出る前にみんな絶好調!状態です^_^;

さて最初は、「金城楼」 中村 料理長作の 「前菜の盛り合わせ 」

マスカルポーネ・チーズを使った何じゃらとか、加賀丸芋と黄身酢を合わせて何とかとか…、色々と解説はあったんですが、いかんせんハイテンション状態のみんなにつられ、説明も右から左へ…

この後の料理に関しても、解説はあまり期待なさらないように…。
続いては、あの北大路魯山人で有名な 「山乃尾」 の青木 料理長作の 「蟹味噌仕立てのお吸い物」

さらに、「つば甚」 川村 料理長作の 「鰤の塩麹焼き」
お品書きには目鯛となってましたが、変更になったそうです。
アントシアニンを含んだ能登の紫何じゃら(ここが果物屋の限界か…)の大根おろしが添えられていたのですが、柚子を絞ると奇麗なピンク色に変わります♪

次が、「浅田屋」高尾店 沼澤 料理長作の {栗麩饅頭の蟹あんかけ」

揚げ物が、「つる幸」 河田 若主人作の 「蓮根コロッケ」

最後に、「みや川」 池田 料理長作の 「蟹の白和え マンゴキャビア添え」

時節柄、蟹を使った料理が多かったんですが、さすがに名立たる方々の作品は、繊細でアイディアに富み、流石!と言った物ばかりで、料亭の味を充分に堪能させて頂きました♪

ご飯は、「ANAクラウンプラザホテル金沢」 川上 中国調理長 作の 「中国腸詰め入り蒸し混ぜごはん」です。

果物屋お待ちかねの 「特製デザート盛り合わせ」は同じくANAクラウンプラザホテル金沢の 小石洋食調理長の作です。当然、コーヒーも添えられておりました。

と言う訳で、美味しい加賀料理にどっぷりと浸かった幸せな一日でした。
おまけは、ANAクラウンプラザホテル金沢のロビーに飾られていたX’masツリーです…

街も次第にX’mas色に染まって行く季節ですね♪

ふぞろいの林檎たち

信州りんご 「ふじ」

昔のドラマのようなタイトルですが、農産物の規格に関するお話を少し…
上の写真は、同じ箱から取り出した「ふじ」です。等級は「秀」、サイズは28玉です。
別に、等級やサイズの違うものを持って来た訳ではありません。

出荷される農協や団体によって、色々な場合があるので一概には言えませんが、
農産物の規格とは、このように意外とゆるいと言う事なんですよね。

最近では、大規模な産地では光センサーを使った選果機を導入したりして、製品の均質化に努めていますが、何せ億単位のお金がかかりますから…。

果物や野菜は、あくまでも農産物で工業製品じゃないと言う事を理解して頂きたいと思います。
その業界の者からしてみれば、農産物に関しては同一の規格やサイズであっても多少のばらつきはあるものとして扱っていますが、消費者の方からすれば「何、これ~?」って思われるのかもしれませんね。
しかし、の恵み、の力、の愛情が一体となって生み出されるのが農産物である以上、工場で型を抜いたような訳にはいかないのも、これまた事実です。

じゃぁ、お店でもう一度選別すれば…、と思われる方もいらっしゃると思いますが、そのような扱いをしているお店もあろうかとは思いますが、それを行うと、1アイテムに対して、数倍の販売スペースと手間が必要になって来ます。
その辺をどう折り合いをつかるかが、我々の仕事でもあるんですが…。

かつて、農産物の等級やサイズ分けに関してもっと簡素化しようとか、パッケージももっと低コストの物にしようと言う動きがありましたが、今では逆に収益を上げるための差別化や、流通や消費者のニーズに合わせた細分化や、プレ・パッケージ化が行われるようになって来ています。当然のことながら、出荷されるまでに掛るコストもアップして来ます。
我々業者の仕入価格云々までは、思い至っても農家の生産原価にまではなかなか消費者の思いが向かないと言うのもまた事実ではないでしょうか…。

農産物の中には年に1回の収穫と言うのも多いのですが、セリの現場では、この商品がいくらで売れるかが先決で、生産原価がいくらか?などと考えている余裕も無いのも事実です。競り落としてから、生産者に悪いことしたなぁ…などと思う事も多々ありますが…。

高松紋平柿

この写真も、同じ箱の中にあった石川特産の「高松紋平柿」です。
品物の性質上、多少のこう言った事は仕方ないと我々としては思うのですが、いくつかの物はお客様からお金を頂けるレベルではないのも確かです。

先程、天・地・人の話になりましたが 、仮に条件がよく似た隣同士の畑で作っても、最後のの愛情と手間暇によって出来る作物はガラッと変わります!
たまにお客さんにもお話しするのですが、
生った果物と、作った果物は全然違う」と言う事です。
つまり、市場に流通しているものの大半は、農家の方々が精魂こめて作った作物なのです。
ほったらかしにしてもいても、勝手に実を付けるとはくれぐれも思わないでくださいね。

まあ、そういった事柄を理解して頂いて、農産物は多少のばらつきが当たり前なんだと言う広い心で農産物を見て頂けるとうれしいです。

最後にお口直しに…♪

Fruity Life を演出☆彡

最近、「みつばちの詩工房」のいちば館店店長の新田さんと親しくさせて頂いてまして、
今度、スタッフ・ブログに 載せるので取材させてなどと言われ、色々とお話しさせて頂いた訳なのですが、それをきっかけに頭の中にあったもやもやがすぅ~っと晴れた感じです。

金沢産の「ふじ」

いちば館のオープン準備段階から、自分の仕事について色々と思いを巡らせたりもした事があります。
どうして、毎朝早くから中央市場へ行かなければいけないんだろうとか、何をするために中央市場へ出掛けているんだろうとか、自分の店のポジションはとか…、半ば自分の商売のアイデンティティに対しての自分なりの哲学的問いかけでもあったような気がします。

そんな中で導き出された答えが、
お客様になり替わり、中央市場にあまたあるフルーツの中から、セレクトして来る事。
それ同時に、情報も仕入れてくる事。
お客様に対して、ベストを尽くす事…etc.

答えになりかけたような、でもまだ何か足りない様な感じだったのですが、
新田さんとお話しているうちに、キーワードが見えてきて、頭の中がすっきりした感じなんですね。

広島産のグリーンレモン

金沢そだち「新高」

レモンは、国産もしくはノンケミカルのレモンだけにしようとか、下級品はなるべく扱わないようにしようとか、お客様の買い求めやすい販売ロットにしようとか、それなりに漠然とではあるけどもスタイルは確立されつつあたんですが、
うちの店は、フルーツのセレクト・ショップである。
お客様のFruity Life を演出するのが使命である。
フルーツでお客様を幸せにする。
全てはここに行き着き、ここから始まるって思った時に、
商売をやっている以上は色々思い悩む事もあるのですが、
フルーツを間に挟んで、お客様とお話していると、
これを召し上がった時にどんな幸せな顔をされるんだろうとか、どのくらい心が温かくなるんだろうなどと、その方のFruity Life を想像するだけで、なんだかものすごく楽しくなって来て、
仕入れの際にも、お客様の顔を思い浮かべながら、
あの方にはこれを、これはあの方になどと思うだけでもワクワクして来ます(^^♪

まだまだ、言葉では言い足りないところもあるんですが、
やっとブログタイトルに自分自身が追いついて来たのかな…などと思う今日この頃です♪